過去の過ちの痕跡を消すために、縫合手術を受けてきた

10年以上も私の右腕で私は根性があるんだと主張し続けてきたアノ跡を消すために、縫合手術を受けました。調べてみると自傷跡や刺青を消すときにも、選択肢の一つとして縫合手術が行われているようです。しかしながら、センシティブな問題故に当事者の感想を聞く機会は少ない。そこで、『根性焼き 消したい』という気持ちで手術を受けた1人として、体験を共有しようと思います。

 

はじめに、縫合手術では完全に傷が消えるわけではないことを伝えておかなければなりません。皮膚を切って縫うのですから新たな創痕が残ります。あくまでも、明らかに根性焼き自傷跡と分かる傷跡を、(なんらかの原因で)怪我を負って病院で縫ってもらったんですよという見た目に変えることが目的です。

 

元の傷跡の状態や体の部位によっては、手術をすることでかえって目立ってしまうかもしれません。どうにかしたい焦りから安易に手術に踏み切ってしまいがちですが、術後の傷の見た目がどうなるのか・必要な処置は何かなど、医師とよく相談した上で納得して決めることが大切だと思います。

 

13年前のケロイド状の火傷跡

私の傷跡ーー今は根性焼きという言葉自体がトラウマなので、あえて傷跡と呼ばせてくださいーーはタバコではなく、熱した金属でつけた火傷です。歪な星形で、大きさは500円玉に収まるくらい。

 

10代の頃の私の趣味は、盗んだバイクで走り出すことと拳で語り合うこと...ではありませんでしたが、少々思春期を拗らせていました。そんな時代を過ぎた後、自分でつけた体の傷は社会生活の足枷にしかなりません。

 

特に人と関わる仕事では、相手が傷を見て不快になることは必至。騙し騙し隠しながら13年生きてきたけれど、隠さなくても良い傷に変える方法を知り、手術を受けることに決めました。

 

かかりつけの皮膚科で縫合手術を受けた

美容整形外科や形成外科ではなく、私はいつも通っている皮膚科で相談しました。診療科目に美容皮膚科があり、レーザー治療やほくろの切除も行なっている病院です。

 

初めてかかる病院で手術を受けるのは、精神的ハードルが高かったのです。それがたとえ医師であっても、傷跡について詳細に話すことは心の古傷をえぐるようなものだと。結果的に医師からも看護師からも過去のことなど何も聞かれず、杞憂に終わったのですが。おそらくどの病院でも、患者の過去を責めたり蔑んだりはしないでしょう。

 

 

手術は部分麻酔で痛くない。術後も意外なほど痛くない

当日は激しい運動は避けながらも、時間まで普通に過ごしました。食事も普通に。飲酒は不可で。街のクリニックなのに手術室が手術室そのもので、手術台ベッドではなく手術台に寝かされた段階でいっきに緊張。もっとこう、保健室みたいな簡易的な部屋で行うのかと。

 

部分麻酔をして、いざ手術開始。もちろん痛くはないのですが、皮膚が引っ張られている感覚はあり、それが結構怖いです。30分程度で終わるだろうという私の勝手な予想に反して、手術室に入ってから出るまでおよそ1時間半でした。

 

驚いたのは、麻酔が切れてもまったく痛みがなかったこと。患部周りが多少腫れて引きつれ感はあるものの、水に濡れてもしみないし、痛み止めも私には必要ありませんでした。縫うなんて初めての経験で、たとえば料理中に包丁で手をケガした時のような痛みが長く続くのかと思っていたのですが。

 

星形の火傷跡からまっすぐな一本線の傷跡に

ビフォーは歪な星形で、アフターはまっすぐな線になった傷跡。位置的に不自然でないことも幸いし、「ちょっとケガをしてしまいまして...」とごまかせるようになりました。まだ抜糸前ですが、今後はこの傷跡をなるべく綺麗に目立たなくするために、しっかりアフターケアをしよう。

 

私は手術を受けて良かったです。過去の自分に対して後悔がなくなったわけではないけれど。これからの人生、前を向いて生きていかなければと、そう思います。

 

とりまとめ

  • 縫合手術をしても傷自体がなくなるわけではない
  • 根性焼き自傷跡を通常のケガでできた傷跡のように見せることはできる
  • 私はコンプレックスを解消できた